私の恋した誘拐犯【完】
「ど、どうしたのキョンタ」



「ちょっといい?」



屋上の方を親指で差し、キョンタが私を誘導する。



コクン、と頷きキョンタのあとを追って屋上へ。



フワッと秋風が髪を揺らし、少しだけ肌寒さを感じさせる。



ふぅ、と息をついて屋上の柵にもたれかかるキョンタ。



さっきまでの深刻そうな顔とは違い、いつもの表情に戻っている。



「珍しいねキョンタ、なんかあったの?」



「やめろよ有栖、なんかあったのは有栖だろ?」



「…え…」
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