私の恋した誘拐犯【完】
口元にはいつもの笑みが浮かんでいても、目で分かる。



私を見る目が、いつもと違うのだ。



「私、べつに自分中心になんて…」



「拓巳が怒ってるのは自分のせい。拓巳が学校に来ないのは自分のせい」



「だってそれは「確かに、それも一理あると思うけど」



私の言葉を遮り、キョンタは私に背を向けて外を見渡した。



「それだけじゃない理由があるんだよ、あいつにも。自分の考えだけに拓巳を縛り付けるのはやめてやれって話し」



「縛り付ける…」



そんなつもりはなかった、なんて今更言うつもりはない。



キョンタの言う通り、私は自分の考えにたくちゃんを縛り付けていたと思う。
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