私の恋した誘拐犯【完】
それでも、



「それでも私は、たくちゃんを傷つけた」



きっと、この結果に変わりはない。



たくちゃんがどんな理由で怒っているのか、全部は知らない。



だけど、私がたくちゃんを傷つけたことに変わりはない。



いつも側にいてくれた人に「関係ない」なんてことないのに。



そんな言葉でたくちゃんを突き放して。



もし逆の立場だったらと考えても、私は絶対に傷つく。



「うん。有栖は拓巳を傷つけただろうね」



だけど、と続けるキョンタにはどこか掴めない空気があった。
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