私の恋した誘拐犯【完】
後ろから足音が近づいてくる。



たくちゃんの存在をピリピリと感じてしまう。



思わずギュッと目を瞑った。



「悪かった」



だけど、降ってきたのは予想もしていなかった言葉。



え?とその顔を見上げる。



「俺が子供だった」



「な、なんで…」



「先に煽ったのは俺だったよな。喧嘩を売ったくせに、千織に買われて腹が立つなんて矛盾してた」



たくちゃんはいつだって大人だった。
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