私の恋した誘拐犯【完】
「あ、あと洋くんからたくちゃんへの伝言があるの」



「伝言?」



伝えといてと言われた言葉を頭の中で少しずつリピートしていく。



「えと、たしか…『俺は、そうならないように気をつけてる』って、言ってたような」



そう伝えた瞬間、たくちゃんは目元を覆った。



私では分からなかった意味も、やはりたくちゃんには分かってしまうのだろうか。



「ほんと…千織の保護者は最低だよ」



低い声は、あのとき言い合った時と同じトーンで。



どうやら怒っているようだった。
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