私の恋した誘拐犯【完】
もっと賢かったらよかったのに、そう思わずにはいられない。



「そんな奴…千織の気持ちなんてこれっぽっちも考えてねーんだぞ?」



「うん」



「千織の気持ちには答えられないってことなんだぞ?」



「うん」



全部ぜんぶ分かってる。



それはバカな私でも分かってることだ。



今更改めて言われなくても、私は全部分かってる。



「…泣いてんじゃねーよ、バカ」



「っ…泣いてない…!」



分かっていても辛かった。
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