私の恋した誘拐犯【完】
「も…、優しくしないでいいよたくちゃん…」



「バカ、優しくしてるわけじゃねーよ。抱きしめたくなったから抱きしめただけ」



それを優しくするって言うのに…そう思いながらワンワン泣いた。



たくちゃんがどうしてここまで私に優しくしてくれるのか、時々疑問に思うけれど。



それはたくちゃんの元々持ってる優しさなのかもしれないと、つい甘えてしまう。



“強くなりたい”



昼休みの終わりを告げる鐘が



秋の空に響いて、ゆっくりと消えていった。
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