私の恋した誘拐犯【完】
洋くんは本に向けていた視線を私に移し、一瞬その目を見開いた。



そして足早にこちらへ向かってくる。



「え、ちーちゃん?」



かけていた眼鏡を外して、私を見下ろす洋くんにかける言葉がない。



オドオドとする私を見かねたのか



「洋平の帰りが珍しく遅いから、心配になっちゃったんだよなぁ」



学さんがナイスフォロー。



「そ、そうです…」



理由もあながち間違ってはいない。
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