私の恋した誘拐犯【完】
「ちーちゃんは女の子なんだよ。こんな暗くなってから出歩くのは、もうやめて」



「あ、そっか…そうだよね、ごめんなさい」



そうか、洋くんは心配だからそんな顔をするんだ。



そう分かると、今度は嬉しくなって笑みが零れてしまう。



「じゃあちーちゃん、今日は一緒に帰ろっか」



「え…!ほんと!?」



「当たり前でしょ。まだ仕事残ってるから、それまで本でも読んで待ってて」



予想外の展開に、私の心は飛び跳ねた。



こんなに近くで、洋くんの姿を見ていられるなんて。
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