私の恋した誘拐犯【完】
幸せだ、そう口元を緩ませたとき



『そんな奴…千織の気持ちなんてこれっぽっちも考えてねーんだぞ?』



たくちゃんの真実の塊だった言葉を思い出してしまった。



(なんで今思い出してんだ私…)



きっと、洋くんを好きだと思ったり



幸せだと強く感じたときに何度も思い出してしまうだろう。



核心をついた、真実の言葉を。



「ちーちゃん」



「ひぇっ…え、あ、何?」



トントンと肩を叩かれ、つい変な声を漏らしながらもその顔を見上げる。
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