私の恋した誘拐犯【完】
「ひぇって……、ここらへんの本棚、そろそろ新しいものに変えようと思ってる物ばっかりだから寄りかからないようにね」



老朽化しているのか、洋くんはそう注意をすると仕事に戻って行った。



見た目はこんなに綺麗なのに、と思って触れれば



「わ…」



木材でできている本棚の一部が、ポロっと剥がれ落ちた。



(これは確かに危ないかも…)



そう苦笑いをしながら、近くにある本をテキトーに手に取り、洋くんの帰りを待った。



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それからどれくらい経っただろうか、読むのに集中しすぎて時間なんて気にしてなかった。
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