私の恋した誘拐犯【完】
またしてもじんわり涙が浮かんでしまう。



「こらちーちゃん」



頭をグリグリしていると、頰を掴まれて強制的に顔を上げさせられた。



涙で洋くんの顔がボヤボヤしてしまう。



「…なに、その顔…」



洋くんの口から発せられた、いつもより少しだけ低い声。



洋くんはパッと手を離すと、そのまま背を向けて無言で料理を再開。



頭にハテナが浮かぶ。



「よ、洋くん?怒ってるの?」



あのタイミングで?



何故?
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