私の恋した誘拐犯【完】

試合が終わったら

次の日目を覚ますと、洋くんはいなかった。



代わりに、朝ごはんと共に書き置きがあって



【今日は朝早くから仕事だから、行ってくるね】



このタイミングではまるで、私を避けているようだなんて思ってしまう。



先におかしな態度を見せたのは洋くんなのに…



昨日の夜は眠れないほど泣いたのに、今日になって今度はその理不尽さに不満が募っている。



(こんなに目腫れちゃったのに…)



洗面所の鏡に映る自分の顔は外に出れるものではなかった。



(誰のせいだよもう…)



本人はさっさと仕事に行って、昨日のことなんて頭にないかのようだ。
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