私の恋した誘拐犯【完】
もう言葉を発すことが怖かった。



たくちゃんが本気かどうか、既に察していたからだ。



「…なんで…?」



口にした声が震える。



これが寒さのせいではないことくらいバカな私でも分かってた。



「…私まだ…洋くんのこと」



「分かってるよ」



「じゃあ何で…!」



声を張ってしまう。



気づいてハッとたくちゃんを見上げた。
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