私の恋した誘拐犯【完】
その気持ちに理由を探すのは間違ってるのかもしれない。



「国体…」



小さくたくちゃんが呟いた。



「え…?」



聞き返すと、たくちゃんは少しだけ声を張って



「国体が終わったら、返事がほしい」



男を感じさせる表情で、そう言った。



「…うん」



たくちゃんの抱く気持ちの辛さも苦しさも知ってるからこそ、頷くほかできなくて。
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