私の恋した誘拐犯【完】
いや、そんなたくちゃんの優しさにつけ込んでいたのかもしれない。



「で、でも…」



「保護者が迎えに来るって言ってんだから、甘えとけよ」



“保護者”と強調するたくちゃんの表情は微かに曇っていた。



「う、うん…ごめんねたくちゃん」



「謝ることねーよ。…またあしたな」



明日はたくちゃんの大事な試合なのに。



私はなんで大切な人にあんな顔しかさせられないんだろう。
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