私の恋した誘拐犯【完】
悔しそうに表情を歪めながら試合を見つめるたくちゃんに、涙が出そうになった。



動く試合。



敵チームの流れが良くなっていく。



リードしていたはずの点数は、あっという間に追い越されてしまった。



たくちゃんのせいではないのに、それでもたくちゃんはきっと自分に責任を感じている。



自分が出ていてリードされるならまだしも、自分がベンチに下がってる時に…と。



そのまま残り時間が10分となったとき、ようやくたくちゃんが試合へ復帰。



点数差は大きく広がっていた。



たくちゃんの背中や肩を叩くチームに、たくちゃんも笑顔で答える。
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