私の恋した誘拐犯【完】
「でも惚れさせてやるからさ」



「…うん」



「忘れられるかどうか、俺で試してみてもいいだろ」



どこまでも優しいたくちゃんは、私に居場所をくれる。



無理に好きにならなくてもいいけど、好きになってもいい



たくちゃんの言葉には、甘えてしまいそうになる居場所がある。



私の逃げ道さえも作ってくれる。



「ありがとね、たくちゃん」



「でも付き合ったからには俺も容赦しねーから。覚悟しとけよ」



ギュッと握られた手から、じんわりと優しい温もりが伝わって。



どこか罪悪感に似た何かが、心の中に埋もれていった。
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