私の恋した誘拐犯【完】
私はたくちゃんと付き合った。



なのに、付き合う上で大切な気持ちはたくちゃんの元にないなんて…



最低だ。



「珍しいね、ちーちゃんが妥協するなんて」



「妥協って…」



クスリ、と笑った洋くんがそのままレジへと進む。



スラッと伸びた身長、整った顔、サラリとなびく黒髪。



私を夢中にさせるその全てから、そっと目を逸らした。



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「いい匂いだぁ」



夕ご飯、リビングには肉じゃがのいい香りが充満していた。
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