私の恋した誘拐犯【完】
「わざわざ呼ばなくても、いつでも会えるからさ」



大丈夫、と笑う私に洋くんは重ねて口を開く。



「でもハロウィンは毎年1回きりだよ」



何が言いたいのか分からなくて、食べていた手を止めて洋くんを見た。



洋くんはまるで何かを試すような目で私を見ている。



「これから付き合ってくなら、何度もくるよハロウィンなんて」



その目を見てることができなくて、逸らしながらそう言った私に



「…そうだね」



洋くんはどこか寂しげに返事をした。
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