私の恋した誘拐犯【完】
結局、春夏秋冬の思い出に洋くんがいて。



切っても切れない思い出が苦しめる。



(いっそのこと一人暮らしとかしてみようかなぁ)



「千織、別に無理して俺に会わなくていいよ」



「…え?」



「もちろん千織の想いは俺が上書きしてやるけど、千織がまだって言うなら俺待つし」



そう頼もしく言うたくちゃんだけど、その顔は切なそうに歪んで。



「わ、私そんな…」



「ばか、さすがに分かるよ俺だって。千織が何か悩んでることくらい」



そう言われて何も言えず黙り込む。
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