私の恋した誘拐犯【完】
感情を顔に出してなかった自信はない。



事実、出していたからたくちゃんにはバレてるんだろう。



「わ、私は大丈夫だから!ちゃんとたくちゃんのこと…!」



「嘘つくなって」



ハハッと寂しそうに笑うたくちゃん。



「う、嘘じゃないよ!」



ムキになって声を上げる私の言葉なんて、たくちゃんは信じてない。



「今すぐ俺のこと好きになって欲しくて付き合ってるわけじゃないから」



俺のことは気にすんな、と。



たくちゃんは言う。



切なく、悲しそうな表情で。
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