私の恋した誘拐犯【完】
ゴソッと、静かに隣に入る洋くん。



「あ、洋くんおかえ…り?あれ?」



おかえり、といつものように声をかけながら振り向くと、いつもはこっちを向いている洋くんが、私に背を向けていた。



あれれ?と首をかしげる。



「ね、ねぇ洋くん」



「んー?」



「何でそっち向いてるの?こっち向いてよ」



「今日はちょっと…こっちの気分」



何それ、と眉を寄せるが、洋くんがこっちを向く気配はない。
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