私の恋した誘拐犯【完】
「このもみじ、押し花にしようかな〜」



舞い落ちたばかりのもみじを拾い上げそう言う私に、たくちゃんは鼻で笑って



「なに千織、そういうキャラだった?」



少しバカにしたように言った。



「なにその言い方〜、私って結構女の子っぽいんだよ!」



「は〜どうだか」



「もうっ」



ふん、と顔を逸らし綺麗なもみじを拾い上げ続ける。



たくちゃんは隣でそんな私を黙って見つめていた。
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