私の恋した誘拐犯【完】
「俺だって千織を振り向かせたい、あいつのことなんて忘れさせてやりたいって思った。…だけど、それじゃ千織が苦しいんだよ…」



たくちゃんはきっと一人で考え込んで。



「俺じゃ千織を苦しめることしかできねーんだって思ったらさぁ…」



一人で苦しかったんだ。



「私たくちゃんのこと好きだよ…!」



どうしたら笑ってくれるのか分からない。



「いいって」



「ほんとだよ……っ」



「いいから千織、もうやめてくれ」



嘘が1番苦しいのは分かってる。
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