私の恋した誘拐犯【完】
だけど今、それ以外に言葉が見つからない。



「ほんとにたくちゃんのこと___」



言いかけたとき、たくちゃんが私の頭の後ろに手を回して目一杯顔を近づけた。



唇と唇が鼓動で触れてしまいそうな距離。



たくちゃんの息がかかる。



私はギュッと強く、目を瞑った。



「…抵抗しろよ」



すぐそこで、そんな声が聞こえる。



「…え…?」



目を開けて声を漏らすと、たくちゃんは震える声で続けた。
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