私の恋した誘拐犯【完】
「好きでもないやつに…、キスされようとしてんじゃねぇよ……っ」



“好きでもないやつに”



たくちゃんはそう言って、ゆっくりと体を離した。



「千織が嘘つけばつくほど、痛えんだよ…」



ああ、



違かった。



「たく、ちゃん…」



好きになる努力なんて、ただの自己満でしかなかった。



結局、



「ごめ、んね…たくちゃんごめんね……っ」



傷つけたくない大切な人を



私が残酷に傷つけていただけだった。
< 428 / 530 >

この作品をシェア

pagetop