私の恋した誘拐犯【完】
私は全部全部間違ってた。



私がたくちゃんだったなら、痛くて痛くて壊れてしまう。



苦しくて苦しくて息ができない。



そんな残酷なことをしていたんだ。



「もう…、俺のために嘘はつくな」



深呼吸をしたたくちゃんが少し穏やかな顔で私を見る。



「自分のために自分の気持ち大事にしてほしい」



「…たくちゃん…」



「俺の横にいながら他の男に夢中な千織見てんのも目障りだしな」



無理な笑顔を浮かべるたくちゃんだったけれど、それはきっと私のための笑顔と憎まれ口。
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