私の恋した誘拐犯【完】
第5章

洋くんの声

「え、別れた…?」



すっかり師走のある日。



洋くんが何かあるたびに拓巳くん拓巳くんとうるさかったから、ついに本当のことを告げた。



今まで黙ってたのは、ちょっとした意地みたいなもののせいもあるけれど…



1番は洋くんへの想いが戻ってくるという恐れだったのかもしれない。



「それって最近の話し?」



「ううん。紅葉を見に行った時の話しだよ」



「ず、随分前だね…」



見るからにヘコむ洋くんに苦笑い。
< 432 / 530 >

この作品をシェア

pagetop