私の恋した誘拐犯【完】
たくちゃんと別れてからは、確かに少しの気まずさはあるものの普段通りだった。



いや、普段通りにしてくれるたくちゃんがいてくれた。



莉奈もキョンタも特別何も聞いてこないし、きっと気を遣ってくれてるのだろうと思う。



好きな人が振り向いてくれない辛さを知ってる私にとって、やっぱりたくちゃんは強くてかっこいい。



演技だったとして、好きな人の前で笑顔なんて私なら浮かべられそうにない。



「どうして?」



と、洋くんがいきなり口を開く。



え?とその顔を見ると、洋くんは気まずそうに首の後ろを掻いた。



「聞いちゃ…まずいかな」



そんな顔を見て、私もつい目を泳がせる。
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