私の恋した誘拐犯【完】
それでもドキッとしてしまう私がいることを洋くんは分かってるのだろうか。



「そ、そう…」



一言しか返せない私を気にすることもなく、洋くんは注いだコーヒーに口をつけた。



「そういえば、もう今週かな冬休み」



あ、と思い出したように顔を上げた洋くん。



私もハッとしてカレンダーを見る。



「ほんとだ…よく覚えてるね洋くん」



「逆になんでちーちゃんが忘れてんのさ…。学生なんだから冬休みくらい指折り数えなよ」



「そ、そんなにガキじゃないし!」



「よく言うよ」
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