私の恋した誘拐犯【完】
なんだか拍子抜けしてしまう。



洋くんの言葉に頷いて、洗面所に向かった。



鏡に映った自分の顔は、驚くほどアホ面だ。



「なんて顔してんだ自分…」



全てを洗い流すように、勢いよく顔に水をぶつけた。



洗い終わったあと手探りしていると、もふっと顔にタオルが当たる。



びっくりして目を開ければ、鏡ごしに見える洋くんの姿。



「あ、ありがと…」



「朝ごはん、できてるよ」



優しく笑って、洋くんは私に背を向ける。
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