私の恋した誘拐犯【完】
「辛い話ししてごめん……ごめんねちーちゃん」



そんなことないよ、と



言える余裕さえ今の私にはなくて。



息が苦しくなるほど涙が止まらない私が首を振ったところで、なんの説得力もない。



全ての事実が一気に押し寄せた私と



全てを知りながら今の今まで笑っていた洋くん。



どちらが辛いかなんて、比べるようなことはしないけれど。



きっとずっと、洋くんのほうが辛かったんだろうな



洋くんの胸でわんわん泣きながら、そんなことをぼんやりと考えていた。
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