私の恋した誘拐犯【完】
『パパ!テスト100点だったよ!』



『1度だけの100点で喜ぶな。ほら、参考書買いに行くから準備しなさい』



褒められたい



あのときの私はきっとそれだけだったと思う。



『君は頭がいいんだね、この出来損ないの娘に教えてやってほしいくらいだよ』



本屋ではいつもパパとお兄さんがお話しをしている。



会話の内容を理解するには、少し時間が足りなかった。



『千織ちゃんはきっと出来損ないなんかじゃないですよ』



参考書を選びながら、ふと耳に入った澄んだ声。
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