私の恋した誘拐犯【完】
ポタッと、自分の頬から雫が垂れる感覚で目が覚めた。



もう枯れるほど泣いたというのに、私は夢にまで涙を流すのか、と半ば呆れ笑いながら体を起こす。



パサっと肩にかかっていた毛布が落ちた。



どうやら泣き疲れてリビングで眠っていたらしい。



「洋くん…?」



洋くんがいない。



さっきまでいたはずなのに。



「洋くん…!」



一瞬恐怖が自分を支配して、言葉にできない何かが押し寄せた。
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