私の恋した誘拐犯【完】
あんな話しを聞いた後で、きっと情緒も不安定なのだろう。



「洋く「あれ、ちーちゃん起きた?」



ふわっと香ったのは冬の匂い。



洋くんが洗濯物を抱えて戻ってきた。



「な、なんだ…洗濯物…」



「随分顔が青いみたいだけど…なんか怖い夢でも見た?」



洋くんがいなくなるはずがない。



そんなはずないのは分かってるのに、もしかしたら洋くんも私を、なんて馬鹿なことを考えた。



「洋くん……っ」



洋くんの背中に腕を回して、力いっぱい抱きついて。
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