私の恋した誘拐犯【完】
「6年前の誘拐事件、同姓同名の別人だって今まで言ってきたのは嘘」



逸らさず真っ直ぐに、たくちゃんの視線が強かった。



それは怒ってるとか恨みを持ってるような視線ではなく。



「私を誘拐したのは洋くんで、それを頼んだのはパパ」



私を包み込むような、



大丈夫だから、そう言ってもらっているような。



「どうでもいいかもしれないけど、みんなには隠していたくなくて…」



「ちぃ、もういいよ。話してくれてありがとね」



莉奈がギュッと私を抱きしめた。



「辛かったでしょ」



ぽんぽんと背中を叩く優しい手に、思わず涙が溢れてしまいそうになる。
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