私の恋した誘拐犯【完】
「なんかあったってわけでもないんだけど…」



「いいよ、話してみて」



教室に向かうまでに、昨日のことから今朝のことまで、ざっくりと莉奈に話す。



莉奈は時々、うんうんと頷きながら黙って聞いてくれていた。



「なるほどね〜…」



教室に入り、自分の席に座ると、莉奈は顎を触りながら考えるように下を向く。



連番になっている私たちの席は、お互いに自分の席についても、前と後ろになるから話しやすい。



「私が思うに、彼だって男だし、そのいつもの悪戯に、つい男の部分が反応しちゃったんじゃないの?」



人差し指をたてながら、淡々と話す莉奈。
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