私の恋した誘拐犯【完】
経営者として、有名だったパパの子である私が行方不明になり、世間ではちょっとした騒ぎになったらしい。



6年経った今でも、私は見つかっていない。



そんな事件も、6年も経てば音沙汰がなくなり



私の両親も、大きくなってしまった私の顔なんて、探し当てることもできないだろう。



私の家から、とても離れた彼の家。



静かな田舎で、ひっそりと暮らす私のことなんて



もう、見つからない。



私たちは、どう足掻いても「誘拐犯と被害者」に変わりはないけれど



お互いに「洋くん」「ちーちゃん」と呼び合い、どこからどう見ても仲の良い兄弟。
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