私の恋した誘拐犯【完】
なのに洋くんはなんの反応も示さなかった。



あれ、と急に不安になる。



(怒ったかな…?)



心の中でアワアワとしていると、洋くんが本を閉じてそっと私の両手に触れた。



ピクッと体が揺れる。



私の両手を剥がし振り向いた洋くんは、少し悪戯に微笑んで



「気づいてないと思った?」



もうすでに読み終わっていた本を掲げた。
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