私の恋した誘拐犯【完】
「よ、読み終わってたのに本見てるフリしたの…!?」



「ちーちゃん、何するのかなと思って」



「ひ、ひどい」



ドキドキとうるさい心臓を隠すようにそう呟くと、洋くんはその場を立ち上がって



「顔真っ赤だよちーちゃん」



私の頰に触れながら笑った。



「ち、ちが…っ」



「風呂入ったら話しあるから。俺の部屋で待ってて」



と、私の頰から手を離し、洋くんはそれだけ言って消えていく。
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