私の恋した誘拐犯【完】
誘拐犯に恋をするなんて、常識では考えられないし、不謹慎だ。



それでも私は、洋くんが大好きで。



12歳の時、テレビでプロポーズのシーンを見て言ったことがある。



『ちぃ、大きくなったらおにーさんと結婚する!』



言ってることは、今とあまり変わらないけど…



『いつかね』



彼は、私の頭を撫でてそう言った。



そんな約束、彼が覚えてるはずもない。



「ねぇ洋くん」



「んー?」



んー?と言って、首をかしげる洋くんが、昔から優しくて大好きだった。
< 7 / 530 >

この作品をシェア

pagetop