私の恋した誘拐犯【完】
え?と私も家の方を見ると、こっちに向かってくる洋くんの姿を捉えた。



「あ、え、よ、洋くん…っ」



「洋くん?」



洋くんのことをたくちゃんに話したことはない。



たくちゃんは、そんな洋くんを物珍しそうに見つめていた。



「こんばんは」



近くまできた洋くんが、いつもの優しい笑顔で、たくちゃんに挨拶をする。



「こ、こんばんは…」



たくちゃんの返事を聞いて小さく頷くと、洋くんは私に視線を移した。
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