私の恋した誘拐犯【完】
「ごめん。思ったより遅かったから、外出てみたらちーちゃんが見えて…。もしかしてお邪魔だった?」



「そ、そんなこと…!」



何か勘違いをしている洋くんに、私は両手を目の前で振る。



「実行委員で遅くなって、それを友達に送ってもらってたの…」



「そっか。…すみませんでした、お手数おかけして」



保護者のように、たくちゃんにお礼を言う洋くん。



確かに、洋くんは保護者なんだけど。



「あ、いえ…。じゃあ、また明日な千織」



「う、うん!送ってくれてありがと!帰り道気をつけてねたくちゃん」



私の言葉にたくちゃんは笑うと、ヘルメットを被り、エンジン音を響かせて元来た道を戻って行く。
< 81 / 530 >

この作品をシェア

pagetop