私の恋した誘拐犯【完】
「げ」



つい顔がしかめる。



「げってなんだよ。ほら、試しに着てみろ」



「た、試しってなに?明日着るんだし、今日着なくても…」



「サイズ合ってなかったらどうすんだよ。早く」



なぜか楽しそうなたくちゃんは、私にメイド服を押し付けた。



そんなやりとりを見ていた周りも、興味ありげに私を眺める。



「み、皆さん、手を進めてください…」



私の声に、みんながハッと仕事に戻る。



手に持ったメイド服は、当然私が似合うような代物ではない。
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