私の恋した誘拐犯【完】
手に持たされたメイド服。



はぁ、と誰もいない更衣室で、深い深い溜め息をついた。



「…仕方ない、か…」



これも実行委員の役目だと、自分に喝を入れる。



そしてしばらく、着方がよく分からないソレと奮闘すること10分。



ようやくメイド服を着ることができた。



鏡に映る自分に嫌気がさす。



「これ絶対似合わな「ちぃー?まだー?」



ガラッと扉が開き、中から莉奈が顔を覗かせた。



その目は私を捉え、固まっている。
< 87 / 530 >

この作品をシェア

pagetop