あなただけの騎士
「お前…安藤杏美だっけ?」

『は、はい!』

顔を青くさせ、返事をする女。


「後、盗聴器は?」


『もう、ないです…』

口ではそういうものの、女は今にも泣き出しそうな顔で自分の服をめくり出した。


めくったスカートの中には盗聴器か二つほど仕掛けられていた。

……パンツは見てないぞ?


「ないならいい。なんでここに来た?」

女は下ろしていた髪を耳にかけ、出した耳をよく見せてきた。


女の耳にはイヤホンがついてある。

指示を出されているのか。


『…』
「答えろ」

俺はあくまでもコイツの演技に合わせ、凛桜が来るのを待つ。


『……って』


「あ?」


『だって!こうでもしないと騎士団のみなさんと関われないでしょ?!』


…こういえ、と言われたのか。
コイツ、女優になれるんじゃねぇか?


「じゃあ盗聴器はなんだったんだ」


『盗聴器は皆様との会話を録音するためよ!』


うわぁ…。絶対に指示してるやつ、馬鹿だろ。

「…頭大丈夫か?」


『大丈夫だよ』

…はるにぃ。


ハッ、だめだ。もう、過去。


「とりあえず…お前はもう帰れ」


『えーっ!いやよ!』


「帰れって言ってんだよ。帰れ」

とりあえずは冷たく、いつもの俺で接する。


『嫌なものはいや!まだいるのー!』

「帰れ」

『いや!』

「…チッ。しょうがねえ、今晩だけ止めてやる。明日は帰れよ」


少し、姫に近づいたかのような素振りをする。

『ただいまー、キング』


凛桜が来たことによって会話が途切れた。
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