あなただけの騎士
「凛桜。この女…安藤、だっけ?一晩だけ泊めてやる」

「え、まじで?」


「あぁ」


凛桜は俺に有り得ない、というような顔をする。


「珍しいな、キングが女とまともに話すなんて。どんな心変わりだよ」


俺はそっと近くにおいてあった紙とペンを持って凛桜にさっきあったことを伝えた。


「俺だって鬼じゃない。一晩くらいなら泊める」

なんて、心の隅でも思っていないことを口に出してみる。


「安藤。後はコイツにでも面倒見てもらえ」


「はい!」

「えっ!ちょ、は…キング!」

…今、春樹って言おうとしたよな?
俺は凛桜を殺気付きで睨んでやった。


俺が出口へ向かうとみんなが口々に話しかけてくる。


「キング、もう帰るんですか?!」
「少し遊びましょうよ〜!」
「組手してくださいよ!」
「久しぶりに来たのに〜」

など、と声が出る。
久しぶりって、一日来なかっただけだろうが。



「また来るから。じゃあな」


そういって倉庫を後にした。
バイクに跨り、俺はある場所へと向かった。


***
< 13 / 37 >

この作品をシェア

pagetop