あなただけの騎士

「──えー、みなさん、ただいまから体育祭を始めます!初めに──」


ながったるい進行の話なんて聞くわけもなく、ただただ寝ないように意識を保つ努力だけをしていた。



「春樹、お前寝るんじゃねえよ。1番最後だからって余裕ぶってんじゃねぇよ。ピンチヒッターで入る時もあるんだからな」


「…そんなことあるわけねぇだろ」



なんて言ったことを後悔するのはもう少しあとの話。




「桃華、1番最初だよな??気ぃつけろよ」


「う、うん。ありがと…」


少し、表情が曇ってる気がするけど


「桃華?具合悪いのか?」

「ううん!大丈夫だよ」


大丈夫ならいいけど。



「さて、始まりました!この高校で最も平和だと言われている玉入れ競走!!いやぁ〜、女の子がたくさんいていいですね!!」


なんてふざけた放送を聞きながら桃華の玉入れを見守る。


頑張って投げるのはいいと思う。

だからって腹が出てることに気付かないのかよ。


投げる度に腹チラしててそれを見てる男どもの目玉を潰したくなる俺の気持ちもわかれっつーの。


なんて終始桃華のことを考えて玉入れは終了。
俺は結果がどうであろうと、今日が平和であればいいと思ってる。
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