あなただけの騎士

「ねぇ、橘くんっ!今日の放課後、暇?新しく出来た 「はよ、桃華。今日さ、新しく出来たゲーセン行かねぇ?」 ちょっと、あたしは?!」


コイツの声なんか聞きたくもねぇよ。


「お、おはよ。いいよ〜。あたしも誘おうと思ってたの」



この子は夏目桃華(なつめ とうか)。
俺とは幼馴染で小さい頃からずっと片思いをしている。


桃華は俺のことをただの幼馴染としか思っていない。

だから俺も気持ちは伝えない。


アピールはしてるけどな?
桃華って。鈍いんだよ。
周りから見たらベタ惚れなのがバレバレらしい……。


この前正春に言われた。


ーー キーンコーンカーンコーン ーー



「お前ら席つけー!」



担任の声に従って、みんな席につく。

この学校は周りからは不良校だと思われているが、校舎が少し汚いだけで。

実は少し不真面目なやつが多いけど、普通の学校なんだ。


まぁ、確かに不良も多いけどな。

族もいるくらいだし。



俺の席は窓際の一番後ろ。
転校生って訳じゃないが、クジ引きでこの席に決まった。

隣は桃華。


窓際って暖かいよな。


よし


昨日も遅かったし


寝ようか



「桃華」


「んー?なにー?」


「おやすみ」


「……また寝るのね。おやすみ」

愛しい人の声を聞いて眠りについた。
< 4 / 37 >

この作品をシェア

pagetop